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離乳食について

 日本では、成長に伴い母乳又は育児用ミルクだけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために幼児食に移行する過程を離乳といい、与える食事を離乳食と言います。
WHOでは「補完食」と言います。
補完食は特別なものではなく、子どもが健康であるために、栄養があり、衛生的かつ安全で、適量を与える必要があります。子どものために作った食事であったり、家庭の食事から作り変えたものであったりします。
 
日本は離乳食の指針があり、育児の本などには細かく記載されていますが、
細かすぎる部分もあり、またその通りにしなければいけないわけではありません。
過程はそれほど気にせず、目標はほとんどの栄養を食事から取れるようになることです。
 
離乳食が現在のように指針が定められたのは昭和33(1958)年からです。
戦後、母子の栄養状態が悪いことを改善することでした。
開始時期は満5か月から
進め方は穀類→卵黄→野菜、魚、10倍粥・7倍粥の定義を作りました。
その後食品の順序にこだわらず、少しずつ食べやすく調理、タンパク質を食品ごとに明記するようになりました。
改定で開始を4か月に早め、その後5〜6か月になりましたが、現在は5か月です。
指針改訂が何度かあり、考え方が変わり変化しています。
 
平成7(1995)年にはすでにお粥は全粥(5倍粥)のみ表記になり、7倍粥や10倍粥の記載がありません。咀嚼にあわせて濃度を変えるとなっています。
最初がつぶし粥なのは、全粥を潰すと糊になってしまうからです。
 
○ 開始時期の目安
・支えられれば安定して座れる
・固形物を反射的に舌で押し出さなくなる
・大人が食べる様子に興味を示す
一般的には生後5〜6か月くらいになります。
 
◎ アレルギーに留意し卵を遅らせたこともありましたが、現在は遅らせるとアレルギーが起きやすくなる報告があり、遅らせない方が良いと考えられています。
 
日本は西洋と違い、粒文化で、粒は調理過程で食べやすくするための工夫が必要です。
西洋は粉文化で形状は簡単に食べやすく調理できます。
薄いお粥はカロリーが低く、ある程度硬さがないと飲み込みにくいので薄すぎないようにしましょう。
お粥を食べないので離乳食が進めないと聞きますが、お粥を食べなくても進めてかまいません。米を食べる文化は米作の国だけで、お粥を食べなくても心配はありません。
炭水化物を何で摂るかだけなので、気にせず他の食材を進めていきましょう。
お米の代わりに、小麦・いも類でも大丈夫です。
 
☆ 母乳だけでは足りなくなる栄養を、食べ物から補います。
特に鉄は母乳には少なく、お母さんからもらった(貯蔵鉄)は生後6か月にはなくなり、食べ物から摂る必要があります。
鉄:肉(赤身)、赤身の魚(かつお、いわし、まぐろなど)、レバー
ビタミンA:卵黄、黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、さつまいも、赤・オレンジピーマン)
緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー)、レバーなど
ビタミンC:果物(柑橘類、いちごなど)、野菜(ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草など)
カルシウム:乳製品、骨ごと食べられる魚(小魚、缶詰など)
亜鉛:鶏肉 魚・貝類、卵黄、レバーなど
 
主食:お粥 パン粥、オートミールなど
薄すぎるお粥はカロリーが低いのでスプーンにとどまる濃さ(ペースト状)
お粥だけでなく、鉄、亜鉛、カルシウムなど他の物と一緒に与えましょう。
 
☆ ベビーフードを上手に活用しましょう。
☆ 家族の食事を作る段階で、具沢山味噌汁、スープ、煮物など最初に取り分けて薄味にし、つぶすなど工夫し、その後ゆっくり家族の分の味付けをすればいいのです。
 
スプーンでの与え方のポイント
1. 乳児用スプーンを使う(ボールが浅い、手持ちが長い)
2. スプーンに少量の食事をのせ、水平に持って口の真ん中から入れる
3. 唇を超えてすぐのところまたは、舌の先端で止める。舌の前方1/3から奥に入れない
4. 子どもが唇を閉じたら水平に抜く(上顎にこすりつけない)
 
◎ 手づかみ食べを積極的に
子どもの手づかみする気持ちを大事にしましょう。
おもちゃに手を伸ばし、口に入れるようになったら手づかみ食べの練習を
(6か月で4割、8ヶ月で9割ができるようになります)
1. 最初は固くて噛みきれない棒状(大人が引き抜けるよう7〜8cm位)の物で練習(生のにんじんなどの野菜、先端にペーストをつけても)
2. 歯ぐきでかみ切ることができる・2本の指でつまめるようになったら、煮た野菜、肉、魚などを1cm角の大きさで、奥歯のある場所の歯ぐきでかめるくらいのやわらかさにして与えましょう。必ず大人が側で見守ってください。
 
 
進み方は個人差があるので焦らないことが大切。
開始時期は、調味料は必要ありませんが、体を動かすようになると塩分も必要になります。
薄味を心がけながら調味料(塩、醤油、味噌など)を進めて、油脂も少量使用しましょう。
お母さんが美味しいと感じる味でなければ子どもも食べてくれません。
硬さはドロドロすぎても硬すぎても飲み込みにくいので食べ方をみながら進めましょう。
 
目安量を食べられたかどうかではなく子どもが楽しく、おいしく食べられているか表情を見ましょう。食べさせなければと思っている大人の表情を子どもは見ています。
無理に食べさせようとすると嫌がることもあります。
お母さんが怖い顔をしてスプーンを持っていたらとても楽しく食べられないですね。
手づかみ食べなどで子どものペースに合わせると食べ始めることもあります。
家族と子どもにとって「食事が楽しいものであること」を大切にして頑張りすぎないようにしましょう
いい加減は良い加減 です。
 
時代の流れや、食生活の変化、医学的根拠などから紆余曲折があり現在に至ります。
今後も変わっていく可能性もあります。
楽しい食事をすることが一番大切です。

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